『見えない友達』

僕はいつも一人じゃなかった。
部屋にいる時も、ご飯を食べる時も、トイレの時でさえ、ずっと僕のそばにいる。
彼らは3人いて、小さい男の子と、その子より少し大きい女の子、そして僕くらいの歳の少年だ。
彼らの声は僕には聞こえず、いつも僕の顔を見て、何を言っているのか、口をパクパクさせているのを眺めていた。
「聞こえないよ」
彼らに聞こえているのかはわからないが、時々僕は音のない声に返事をした。
そんな日々を送っていると、ある時から僕と同じ歳くらいの少年が、僕のことを見なくなった。まるで見えていないかのように。
それからまた時間は過ぎて、今度は女の子も僕のことを見なくなった。
もう僕と声のないおしゃべりをするのは、僕と同じ歳くらいになった男の子だけになっていた。
そしてついに、そんな男の子でさえも僕のことを見なくなり、僕はひとりぼっちになった。
気づけばいつのまにか、小さな男の子は、僕よりもずっと大きな少年になっていた。
僕は誰もいなくなった子供部屋で横になり、机の横の壁に目をやった。
そこには楽しそうに笑いあう3人の兄弟とその両親、そして隅っこに小さな男の子が描かれた画用紙が貼られていた。
小さな男の子の顔は、微笑んでいるようであったが、なぜかどこか物悲しい様に感じた。
僕はそれを見ると、絵の男の子みたいに微笑み、静かに目を閉じた。

絵に描かれていたはずの小さな男の子は、幸せそうな5人の家族を残して消えてしまっていた。

あとがき